尾上菊之助（41）の長男寺嶋和史君（5）が3日、東京・歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」（27日まで）の夜の部「絵本牛若丸」で、七代目尾上丑之助を名乗り、初舞台を踏んだ。

丑之助は、2人の祖父でともに人間国宝の尾上菊五郎（76）中村吉右衛門（74）、菊之助と舞台に立ち、立ち回りを見せ、見えを何度も決めた。

菊五郎は「立派な役者になってもらいたい」と期待し、吉右衛門は「令和の丑之助の誕生でございます」とあいさつ。菊之助に促された丑之助は「どうぞよろしくお願いいたします！」と、大きな声であいさつした。

丑之助は3年前の5月に歌舞伎座で初お目見えした時は、恥ずかしさもあって、手を振るのが精いっぱいだったが、この日の舞台では大きく成長した姿を見せた。菊五郎、吉右衛門がにこにこしながら見守る姿が印象的だった。

打ちかかってくる者たちに「やあ、ちょこざいな。牛若丸の手並みを見よ！」、旅立ちのはなむけをもらい「ありがたや、かたじけない」など、せりふのたびに観客が沸いた。

最後の花道では、菊之助演じる弁慶に「おら、くたびれた。おれの馬になれ。おれは馬にまたがって、やがて平家の一門を滅ぼすのじゃ」と、子供らしさと勇ましさを見せた。菊之助に肩車されて花道を下がる時には、より一層大きな拍手が起こった。

「絵本牛若丸」は、菊之助が84年2月に初舞台を務めた時と同じ演目。終了後、祖母で女優富司純子（73）は「無事に終わってホッとしました。和史の方がしっかりしてると思います」と、安堵（あんど）の表情を見せた。