浜松市のJR浜松駅近くの交差点で平成27年、信号無視した乗用車が突っ込み、1人が死亡し4人が軽傷を負った事故で、殺人と殺人未遂などの罪に問われた中国籍の無職、于静(ユ・ジン)被告(36)=同市=の控訴審判決公判が29日、東京高裁で開かれた。朝山芳史裁判長は「統合失調症の症状が悪化した状態にあった」として、懲役8年とした1審静岡地裁浜松支部の裁判員裁判判決を破棄し、無罪を言い渡した。
于被告は「殺意はなかった」と否定。弁護側は心神喪失状態だったと主張したが、1審判決は殺意や完全責任能力を認め、「十分な反省の態度が見受けられない」などとして求刑通り懲役8年を言い渡していた。
これに対し、高裁の朝山裁判長は精神科医の意見書などに基づき、「当時は緊張病性興奮の状態にあり、行為制御能力などが著しく低下していた」と指摘。「完全責任能力があったと判断した1審判決は明らかな事実誤認がある」と判断した。
于被告は27年5月2日、浜松市中区のスクランブル交差点に赤信号を無視して進入。横断歩道を渡っていた歩行者を次々とはね、中区の主婦、水鳥真希さん=当時(31)=を脳挫傷で死亡させたほか、4人に軽傷を負わせ、逃走したなどとして起訴された。
2019-08-29 07:17:00Z
https://www.sankei.com/affairs/news/190829/afr1908290021-n1.html
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